やりたいことの見つけ方
小学校の卒業式に教頭先生が教室に入ってきて言っていた事を今でもよく覚えている。「君たちは今からだったら何にだってなれます。」その時の私はこの人は何を言っているのか、将来なりたいものなんて無いんだけどなと感じていた。

「書名:君に伝えたい「本当にやりたいこと」の見つけ方 著者:池上 彰 出版社:株式会社KADOKAWA 出版年:2024」
この本で著者も小学生の頃にこの様な本に出合っていればと感じている様に、可能性と選択支という意味において12歳の小学生は偉大だ。これから中学に進学し心身ともに劇的に成長していくのだから。教頭先生が言おうとしていた事が今なら解るかもしれない。今の自分が目指しても絶対になれないものがある。例えばプロのスポーツ選手などがそうだ。自分の大好きなテニスで世界一になってオリンピックで優勝してグランドスラムを達成できたら夢のようだと想う。その目標に向けて達成できなくとも毎日全力で練習できる環境にいれたら体も健やかに育つし幸せだろうなと感じる。しかし、私がテニスを好きになったのは中学時代に友達に誘われて男子軟式テニス部に入って全く強くはなかったが、楽しい3年間を過ごしたからだ。高校生の頃ロジャー・フェデラーや伝説のテニスプレイヤー達の試合を深夜の放送を録画して楽しんで観ていた。二十歳を超えて今からプロになっても食っていけないと思う。目指しても良いが他により幸せになれる選択肢があるはずだ。そして経営の道で生きていこうと決めたが、私は未だ人生を賭してやりたいことなぞ見つけてはいない。
この本を手に取った頃の私は大学生活で好きな事に向かって全力を注いでいる人が幸せそうに見えた。書店で見つけた時に気になって母親に買ってもらった。この本の登場人物の年齢は13歳の中学生達だ。二分の一成人式で10歳の時にも将来の夢について考える機会を与えられたが、私の感覚では多くの人が将来の進路について実際に意識し始めるのは高校進学を控える15歳頃じゃないかなと思っている。中学3年の時に担任の先生が将来なりたいものが決まっている人はいますかと聞いていたのを覚えている。その時に手をあげた生徒は僅かだった気がした。親の意向ではなくて、自分の意志で決めた進路があるのであれば凄いなと感じたものだった。あれから月日が過ぎ、この本の読者たちよりも一回り程多く生きてきたが、先にも述べたように、まだやりたいことは見つかっていない。一方であの頃よりは少し先に進んだので、参考になればと想う。
将来やりたいことが無いまま私は高校に進学した。高校に進学して私が手に入れたのはある種の自由と不自由だった。何が自由だったのか、それは勉強する必要があまりなかった事。中学校では勉強はやらないと怒られるものだった。高校に入ると留年してしまう生徒もいたが、しなくてもほとんど問題になる事が無かった。勉強をしない自由を手に入れた私は、周りの学生が何故あんなに一生懸命に受験勉強に取り組んでいるのか理解できなかった。これは不自由なことが原因だったのかもしれない。不自由だった事は私の世界が高校と自宅の往復以外にほとんど選択肢が無かったことだ。現金もインターネットも持たない高校生だった。
高校を卒業すると、私の行動範囲は少しづつだが、広くなった。地元の自然を楽しみ尽くし、大阪の街を歩くようになって、県外に遊びに行くようになった。今では大学で自分の興味のあるサークルを立ち上げて新しい友達ができたり、アメリカに留学して海外の生活にも慣れた。この本に付け加えたい私からのアドバイスは、まず、やりたいことをするには、金がかかるという事だ。自分で働いて稼ぐか、親に資金を援助して貰う必要がある。アルバイトを始めるまで、私は2000円の交通費も無くて、長い間、自分の足や自転車で移動して、地元の山を巡っていたが、楽しいけれど、ものすごく時間が掛かるし、遠くには行けない。加えて、もう一つ知って欲しいことは、世の中には色んなチャンスがあるという事。自分の世界が広がってくると、選択肢が自然と増えてくる。面白そうなものを見つけて参加できる。もし今退屈だなと感じていたら、きっとそれはやりたいことを見つける最初のタイミングなのかもしれない。今の私が知っているのはここまで。
P106: コラム 「価値観」
自分に合う価値観 | 理由 | |
高い | 健康長寿 | 現世を満喫したいから |
↑ | 家を建てる | 自分の心地よい場所を作りたいから |
優先順位 | あっといわせる | 周りの人ができなくて自分だけができた時にすごいと言われると本当に嬉しいから |
↓ | 孤立しない | 仲間と一緒に過ごす時間は、かけがえのないものだから |
低い | 道を探検する | きっと何処かにたどり着くから |
~本で紹介されていて良いなと感じた偉人の言葉~
かけがえのない人になりたいのなら、人と違っていなければいけない ココ・シャネル